
【2026年9月5日 放送分】
わが背子に恋ひすべなかり葦垣の外に嘆かふ吾し悲しも
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毎週土曜日 朝5:30〜5:45柔らかな語り口が評判の奈良大学教授・上野誠さんが、万葉歌を毎週一首ご紹介していきます。歌に織り込まれた、自然・暮らし・恋愛の機微をお楽しみください。

わが背子に恋ひすべなかり葦垣の外に嘆かふ吾し悲しも

出で立たたむ力を無みと籠りゐて君に恋ふるに心神もなし

かからむとかねて知りせば越の海の荒磯の波も見せましものを

世間のしげき仮廬に住み住みて至らむ国のたづき知らずも

秋の田の穂向見がてりわが背子がふさ手折りける女郎花かも

織女し船乗りすらし真澄鑑清き月夜に雲たち渡る

ぬばたまの夜は更けぬらし玉くしげ二上山に月傾きぬ

志賀の山いたくな伐りそ荒雄らがよすかの山と見つつ偲はむ

このころのわが恋力記し集め功に申さば五位の冠

石麻呂にわれ物申す夏痩に良しといふ物ぞ鰻取り寄せ

ひさかたの雨も降らぬか蓮葉にたまれる水の玉に似たる見む

醤酢に蒜搗き合てて鯛願ふわれにな見せそ水葱の羹

鶴が鳴き葦辺をさして飛び渡るあなたづたづし一人さ寝れば

朝露鹿火屋が下の鳴くかはづしのひつつありと告げむ子もがも

韓臼は田廬のもとにわが背子はにふぶに咲みて立ちてます見ゆ

家にありし櫃に鏁刺し 蔵めてし 恋の奴の つかみかかりて

商変し 領すとの御法あらばこそ わが下衣返したまはめ

安積山影さへ見ゆる山の井の 浅き心を わが思はなくに

春の野の下草なびき われも寄り にほひ寄りなむ 友のまにまに

恐みと告らずありしをみ越路の手向に立ちて妹が名告りつ